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売掛債権を利用した資金調達方法について

1.売掛債権とは?

売掛債権とは、商品やサービスを販売した後、未回収の代金を請求する権利をいいます。
ご商売をされている方であれば、日常的に発生する未回収の売上代金であります。

主に売掛金・受取手形などが該当します。

近年では、この債権を担保にして融資を受けられる売掛債権担保融資やファクタリング(売掛債権買取サービス)など、新たな資金調達の手段として注目されています。

それでは、この2つの資金調達の手段の特徴について説明しましょう。
売掛債権担保融資は売掛金を担保にして資金調達を行います。

売掛金は融資をする金融機関の債権譲渡登記が行われます。

債権譲渡登記があれば、不動産登記の抵当権と同じように、融資の返済が予定通りに行われない場合に売掛金の所有権が金融機関側に移行することになります。

返済が滞ってしまった場合、金融機関は売掛金を売却して融資の回収を行います。

2.売掛債権担保融資のメリットやデメリットについて

メリットは、取引先との売掛金が増加すると共に融資の利用額が増加する可能性がある事、通常の銀行金利1~3%と費用負担が小さい事、売掛金に担保設定はされるものの、通常は、取引先に譲渡内容が通知されないので、取引先にネガティブな印象を与えない事があげられます。

一方で、登記手続きが発生するので、利用までに一定の時間を有します。

そして最大のデメリットは、債権譲渡登記は法人しか利用できないため、必然的に売掛債権担保融資は法人しか利用できず、個人事業主は利用できない事です。

その為、比較的規模の大きい会社、売掛金額が大きい(売上が大きい)会社が利用する資金調達方法といえます。

3.ファクタリングのメリットやデメリットについて

次に、ファクタリングについては、利用者が保有する売掛金を買取業者が取引先から買取りを行います。
従前の割引手形をイメージすればわかりやすいと思います。

金融機関の融資とは異なることから、利用者の業績・金融機関などの負債状況・返済猶予(リスケジュール)・各種税金滞納状況に影響することなく利用が可能です。

また、買取りした売掛金の支払い先企業(売掛先企業)が、倒産、資金繰り悪化などにより、支払いが困難な状態に陥った場合でも、買取りした売掛金について買戻し請求などが利用者に請求されることはないので安心です。(利用者の貸し倒れリスクが発生しない。)

また、取引先からの売上代金の回収前に資金が手元に入るというメリットがあります。

一方で、デメリットは、取引先に売上金を譲渡する旨の通知を行わなければならないので、取引先に資金繰りに問題があるのではないかなどのネガティブな印象を与える恐れがあります。

そして、利用手数料が1~10%と幅がある事から、売掛代金の粗利を勘案したうえで利用しなければなりません。
このように、売掛債権は、新たな資金調達手段として脚光を浴びつつあります。

しかし、まだまだ、一般には十分に浸透していない実情です。
金融機関、業者、取引先とトラブルにならないよう、手数料や契約内容をしっかり確認したうえで利用を検討してください。

最終更新日 2025年5月20日 by derevellers